レポートの形式と課題の確認

  • レポートの形式の確認:レポートには表紙の有無、本⽂の⻑さ(字数・枚数)、紙のサイズ、フォントサイズ、提出期限、提出の仕方などが定められています。忘れずに確認し、きちんと守るようにしましょう。
  • レポート課題の確認:レポートには形式以外に、内容や書き方も定めているものが多くありますので、しっかり確認しましょう。多くの場合、特定の質問に答えることがレポート課題となっています。「授業で取り上げたトピックを1つ選び、論じよ」などの質問を定めていないレポート課題も出題されますが、この場合、どのような質問をレポートで扱うのかを自分で考えなければいけません。また、書き方についても、「論じよ」という指示が何を意味しているのかは、授業ごとに異なる場合があります。分からなければ、教員に相談し、確認しましょう。

時間管理と資料収集・読解

  • 執筆計画と時間管理:レポートの計画から執筆、校正を経て提出までは時間のかかる作業です。他の予定を確認しながら、どの作業にどの程度の時間がかかるのかを見積もり、しっかりスケジュールを立てることが重要です。
  • 資料の収集・読解:授業で配布された資料や教科書の知識だけで答えることができるレポート課題もありますが、質問に対する自分の考えを裏付けるためにも、他の資料を参照にした方がよいことも多いです。その場合、まず必要な資料を集め、クリティカル・リーディングを行います。資料の調べ方については、図書館の「調べ方サポート」のページ(http://www.nul.nagoya-u.ac.jp/support/)に詳しく解説されています。クリティカル・リーディングについては、《参照⇒クリティカル・リーディングを行う》

レポートの質問を設定し、その回答に対する議論を作る

  • 質問を考える:レポート課題で特定の質問が定められていない場合は、自分で質問を設定する必要があります。ただし、レポートで重要なのは、質問への答えに対する議論であって、質問や答えそのものではありません。「AはBなのか」、「どのようにAはBと関係するのか」など、授業の内容や読んだ資料を活用して、自分が適切な理由と根拠を持って答えることができる質問に設定する必要があります。
  • 質問の回答に対する議論を作る:質問が定まったら、それにどのように答えることができるのかを考えます。このとき重要なことは、単に「自分がそう思う」という回答をするのではなく、なぜその回答が合理的なのかを示す必要があることです。つまり、自分の回答に理由や根拠をきちんと与えなければなりません。また、自分のものと異なる回答があるならば、その回答を検討し、なぜそれが正しいと言えないのか、その回答の理由や根拠は十分なものではないということを示す必要があります。このように自分の回答や他の回答が合理的なものかどうかを、理由や根拠を吟味しながら考えることを「クリティカル・シンキング」と呼びます。資料を用いる場合でも、「なぜそう言えるのか、どのような調査を経てそう言っているのか」を自分自身で検討する必要があります。このとき、自分がバイアス《参照⇒クリティカル・リーディングを行う》を持っている可能性にも注意してください。

レポートを執筆する

  • レポートの構成を考える:質問とその回答理由を十分考えた後は、それをどのように提示すれば分かりやすいのかという点に注意しながら、レポート全体の構成(アウトライン)を考えます。質問とその背景や重要性をまず述べて、そこから回答理由と回答について書くという構成が標準的です。しかし、どの情報をどのくらい、どのような順番で提示すれば最も分かりやすいのかはレポートごとに考えてみることが必要です。このときに、教員ではなく、その授業を受講する前の自分や友人を読者として想定してみてください。レポートには自分の考えを合理的に提示するという目的以外に、授業で学習したことを確認するという目的もあります。受講する前の自分や友人が読んでも理解できるような書き方をすれば、自分が何を理解したのかが明確になります。
  • 構成に沿って、レポートを執筆する:構成が定まれば、その構成に従って実際にレポートを執筆します。しっかりとこれまで述べてきた準備ができていれば、執筆するのはそれほど難しいことではありません。

レポートを校正し、提出する

レポート完成後、時間をおいて読み返すと、分かりやすい書き方ができていない点や単純な誤解に気づくことが多いです。提出前に数回読み返すようにしましょう。特に確認してほしい点は、資料を参照したり引用したりする場合、どの資料をどこで参照・引用したかが分かる書き方になっているかどうかです。他の人の⽂章や研究成果を自分が考えたかのように書くのは、重大な不正行為です。不正を行う意図がなくてもそのような書き方になっていてはいけませんので、十分に確認するようにしましょう。

  • 名古屋大学中央図書館2Fのサポートデスクでは、大学院生がレポートの書き方を含む勉強や研究についての質問に答えてくれます。その横にはライティング関連図書コーナーがあり、レポートを書くのに役立つ多くの図書を閲覧可能です。また、2Fのライティングサポートエリアには、2人での共同作業ができるPC付属のワーキングデスクがあります。これらの図書館のサービスも是非利用してみてください。
推薦文献
野田直人(2015)『小論文・レポートの書き方 パラグラフ・ライティングとアウトラインを鍛える演習帳』有限会社人の森.
佐渡島沙織・吉野亜矢子(2008)『これから研究を書くひとのためのガイドブック』ひつじ書房.
発行|
名古屋大学教養教育院 & 高等教育研究センター
初版|
2018.3.20
最終改訂|
2019.3.1
作成|
笠木 雅史