マスメディアとつきあう

自分からコンタクトを取る

1 自分から連絡をとらないと始まらない

マスメディアとのつきあいを始めるための第一歩は、科学者自身が踏み出すことです。実際にテレビや新聞に登場する大学教員の中には、研究成果に関するプレスリリースを定期的に行ったり、ジャーナリストに直接に情報提供したりする教員もいます。

メディアに取り上げられる可能性を高めるため、マスメディアにおいてどのようなニュースが優れているのかを理解し、ジャーナリストとどのようにコンタクトをとればよいのかを理解しておきましょう。マスメディアに報道されるには、あなたの継続的な努力が必要です。

2 優れたニュースとは

あなたが重要だと考えることと、マスメディアや社会の一般の人たちが重要だと考えることは、必ずしも一致しません。あなたが社会に広く知らせたいと考える科学の内容が、マスメディアにおいて優れたニュースであるかどうかを見極める必要があります。以下の観点から、優れたニュースであるかをチェックしましょう。

社会の多くの人々に身近な問題に感じられるものか

「○○がつくった仮説がようやく実証された」という表現を、「□□に含まれる△△という物質が人体に有害である」という表現に替えるといった工夫も必要です。

最近の出来事に関連があるか

例 異常気象、特定の種の大量発生、疫病の蔓延、科学を扱う映画や小説など

あなたの科学の話をおもしろいと聞いてくれる人がいるか

実際にあなたの周りにいる科学者でない家族や友人にあなたの科学の話をしてみましょう。また、大学での授業中などに話してみてもよいでしょう。

3 プレスリリースを行う

優れたニュースを有していると確信したら、マスメディアにコンタクトをとります。

あなたが特定のジャーナリストと知り合いでなければ、プレスリリース(報道発表)を行いましょう。プレスリリースとは、報道機関向けにファックスや電子メールで送る短い広報用資料です。研究者から寄せられたプレスリリースからメディアは取捨選択し、多くの場合さらなる取材を経て、編集して記事として配信します。あなたの所属機関や部局に全体のプレスリリースの機会があれば、それを利用することも一案です。

ジャーナリストは短い時間の中で、さまざまなプレスリリースの資料を目にします。あなたの資料は、ジャーナリストが最低限の加工で要点をまとめられるようなものにしましょう。つまり、最初からニュース形式に近い形でつくるということです。

プレスリリース用資料のチェックリスト
  • 自分のニュースが重要であることを印象づけられているか
  • 最初の一文で注目を引くような工夫がなされているか
  • 最も重要な点が、最初の段落に含まれているか
  • 最も重要な点、研究の目的、結果、インプリケーション、その他の必要な情報の順で書かれているか
  • A41から2枚で、文章は30行以内に書かれているか
  • 早読みできるよう、パラグラフ、見出し、キーワードが配置されているか
  • 内容の理解を助けるような図や写真があるか
  • 文章に飛躍がなく、具体的で明確であるか
  • 一番上に、記事差し止め期日(それ以前にはニュースを発表することができない日)が書かれているか
  • 一番下に、住所、電話番号、電子メールなどの連絡先が書かれているか
出所:Carrada(2006), p.58-59から筆者作成

米国科学振興協会(AAAS)によるEurekalert(http://www.eurekalert.org/)というサイトで、さまざまなプレスリリースが見られるので、参考にするとよいでしょう。

プレスリリース用資料が完成したら、その後の展開について考えておきましょう。実験装置の見学に招待するなど、ジャーナリストの取材要請にたいしていくつかの選択肢を提案できるとよいでしょう。また、研究に関する詳細な記述、論拠、例、キャプションつき写真、映像などをセットにした資料を準備しておきましょう。それらは、ジャーナリストの仕事を楽なものにするだけでなく、あなたの科学の内容を社会に正確に伝えることにも役立ちます。

ただし、プレスリリースを送ったからといって記事になるとは限らないので、過大な期待は禁物です。