マスメディアとつきあう

取材に応じる

1 メディアからコンタクトを受けたら

専門分野に関する説明、コメント、インタビューなどを求めてメディアからあなたにコンタクトをとる場合もあります。電話で行われることも多いため、常に心の準備をしておかなければなりません。

取材を受ける前に確認しておくこと
  • なぜ自分にコンタクトをとってきたのか(ジャーナリストのその時点の準備状況、あなたに期待されているもの)
  • ジャーナリストは誰なのか(所属、科学へのかかわり方、担当している出版物や番組など)
  • 自分が受けることは適切なのか(より適切な科学者を紹介してもよい)
  • どのような取材形態なのか(内容に応じた形態を提案してもよい)
  • どれくらいの時間が必要なのか

2 インタビューを受ける

ジャーナリストがニュースの核心と意味を掴めるようにするために、しっかり準備しましょう。

インタビューを受ける際のポイント
【インタビューの前に】
  • ジャーナリストのスタンス、知識、質問したいことを理解する
  • ジャーナリストには時間がないことを理解する
  • ジャーナリストはあまり研究内容を知らないことを理解する
  • 自分の伝えたい2ないし3の主なポイントを特定する
  • 自分の研究の新しい点はどこにあり、人々にどんな影響があるかを明確にする
  • 「物語」が提供できるか検討する
  • 多くの人々が理解しやすいような言葉で話せるようにする
  • 難解な内容については、理解しやすいような喩えを用意しておく
【インタビューの中で】
  • 平易な言葉で話す
  • 専門用語は丁寧に解説する
  • 数字と統計は最小限にする
  • 同音異義語に注意して話す
  • 研究グループの代表としてなど、自分がどのような立場で話すのかを伝える
  • 質問に対しては誠実に直接的に答える
  • 質問が理解できなかった場合には、もう一度わかりやすく説明してもらう
  • 答えがわからない質問については、その旨を伝える
  • うまく回答できなかった質問については、もう一度答えてもよいかを尋ねる
  • 時間があれば答えがわかる質問に対しては、その旨を伝える
  • 他人の研究へのコメントなどの微妙な問題については、「オフレコ」で伝えることができるかどうか尋ねる
【インタビューの後で】
  • 詳細の資料を渡すなど、どのようなフォローアップができるかを伝える
  • インタビュー内容に関する問い合わせの連絡を受けることができることを伝える
  • 感謝の意を伝える

3 形になったら感謝する

記事または報道が発表されたら、(たとえ、最終的な内容に不満が残ったとしても)担当したジャーナリストに感謝しましょう。また、ページの割り振り、表題などはジャーナリストではなく編集者が担当している場合が多いので、その点も察してあげましょう。

4 協力関係を築く

担当したジャーナリストを、科学コミュニケーションをともに担う協力者と位置づけ、今後も協力関係を継続させることが重要です。そのためには、相互の役割に対する理解と尊敬の念を持つことが重要です。科学者にとって、ジャーナリストは、社会一般の代表として社会の科学理解の状況を教えてくれる貴重な人物です。また、活字、音声、動画などのプロとしてアドバイスしてくれるかもしれません。一方、ジャーナリストにとって、科学者は学問的な正確さを担保する貴重な情報源になるでしょう。このように科学者とジャーナリストは、双方にとって貴重な存在なのです。